
アメリカ全体の経済動向をしめす指標のひとつであるS&P500。
その組入れ銘柄は何社あるかご存知ですか?

500社でしょ?

(おぶち)
実は505社なんだよ。
そうなんです。505社です。(2020年6月時点)
そしてS&P500とは、その505社の時価総額加重平均型株価指数です。

え、わけわかんない。

(おぶち)
時価総額で、
加重平均した、
株価の、
指数、
ということだよ。

いやまあそうだけど……

(おぶち)
例えば株価1,000円のA社と、株価5,000円のB社があったら、平均の株価は?

3,000円。

(おぶち)
正解。
じゃあ、たとえばA社の株式は市場に2,000万株が流通していて、B社は50万株しか流通していないとしたら、経済全体に占める影響力は、断然A社の方が大きいと思わない?

うん。時価総額のことでしょ?
A社は時価総額200億円、B社は時価総額25億円だよね。
※株価 ✕ 発行済株式数 = 時価総額
というわけでこの2社の加重平均株価は、
225億円(時価総額の合計) ÷ 2,050万株(発行済株数の合計) ≒ 1,098円(加重平均株価)
1,098円となります。
発行済株数が圧倒的に多いA社の株価にかなり寄っていることがわかりますね。

(おぶち)
こんなふうにS&P500は時価総額加重平均型だから、小規模な銘柄の株価変動の影響がすくない反面、大型企業の株価変動の影響を強く受けることになるんだ。
※実際のS&P500はもっと細かい計算が加味されているかもしれません。ここでは加重平均の意味をざっくりお伝えするのが目的なので、細部の間違いがあっても勘弁してください。
S&P500に追加・削除された企業
さて、やっと本題になります。
S&P500は、実はその組入銘柄をけっこう頻繁に入れ替えています。
その中でも、今回はコロナショック以降(2020年3月から6月まで)に追加・削除された企業を見てみます。
※VTI投資家は特に気にする必要はありません。
以下の情報はWikipediaから拝借しました。投資判断に利用しようとしている方は、ご自分の責任で情報ソースにあたってください。情報の真偽について小淵は責任をおいません。
List of S&P 500 companies - Wikipedia
S&P500から削除された銘柄(コロナ禍以降)
削除された日付と事業のカテゴリを併記しました。リンク先は各社のWikipediaの記事です。
私が知っていた企業は、百貨店のメイシーズ、二輪自動車のハーレーダビッドソンでした。
今回しらべて知ったことですが、削除される理由はさまざまあるようです。
例えばアラガン(Allergan)は、すでにS&P500の一員であるアッヴィ(AbbVie)に買収されたためです。
他のいくつかの企業は、時価総額が減ったことで時価総額が増えた企業と入れ替えられたようです。この理由がもっとも多いようです。
S&P500に組入れられた銘柄(コロナ禍以降)
ドミノ・ピザは有名ですね。エレベーターのオーティスは日本の建物でも見かけます。
ユナイッテド・テクノロジーズ(United Technologies)がキャリア(Carrier Global)とオーティスを分社化し、レイセオン(Raytheon Company)を買収しました。この影響でキャリアとオーティスがIN、レイセオンがOUTとなったわけですね。
その他は、さきほどの削除銘柄との交換で組入れされたものが多いです。
これを受けて投資家がとるべき行動は?
私の個人的な意見としては、米国株インデックス投資家は特に何もアクションを起こす必要は無いと思います。
銘柄が一部変わったからといってあわてて売却することもありませんし、◯◯が組み入れられたから何かを買おうと決心する必要もないと思います。
S&P500に連動するインデックス、例えばVOOやeMAXIS Slim米国株式(S&500)などのホルダーは、これまで通り、自分の投資計画に合わせて、基本的にはそのまま保有し続けるのがベストな選択肢かと思います。
アメリカ企業の新陳代謝
このようにS&P500は新陳代謝を繰り返しています。時局に合わせ日々"進化"しているといってもいいのではないでしょうか。
時価総額の下がった企業・買収された企業・倒産した企業は退場し、新たな成長企業が参加します。S&P500をインデックスとして持っているだけで、アメリカの経済競争の勝ち組に投資し続けられるのです。
いっぽうVTIは、S&P500組入れ銘柄505社はもちろんのこと、それ以外の中型・小型株を包含しています。
よく比較されるVTIとVOOは、ほとんど同じ値動きでこれまで推移してきました。私は、どちらかがすぐれているということはないと考えています。
※VOOはアメリカ全体の経済をほとんど忠実に再現しますし、VTIは全米経済そのものです。
VOOが505個の卵をのせた皿だとしたら、VTIは約3,500個の卵をのせた皿です。そしてVTIの皿にはVOOの皿がまるごとのっています。
どちらの皿も、卵が数個ずつこぼれたり追加されたりすることは多少ありますが、大きすぎて皿ごとひっくり返るということはまずないでしょう。

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