株式投資の運用成績は「トータルリターン」で評価するのが"普通"です

2020/07/19

基本中の基本 知識・ノウハウ

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株式投資においては、運用成績を配当金と値上がり益とのトータルで評価するのが"普通"です(トータルリターン)。

このように計算します。

[式1]トータルリターン = 評価額 + 配当金 ー 投資元金

[式2]利回り(%) = トータルリターン ÷ 投資元金 ✕ 100

トータルリターンの式の中に評価額(値上がり・値下がりの結果)と配当金、両方が入っていることがポイントです。

楽天証券研究所の山崎元さんの著書『学校では教えてくれないお金の授業』にこうあります。

「インカム・ゲインとキャピタル・ゲインを分けて考えない」という節の中で、

インカム・ゲインとキャピタル・ゲインは、両方を「合わせて」、総合的に評価するのが投資の基本であり、両者を別々に計算して、損だ、得だと判断することは、明らかに不適当です。

現在、高齢者を中心によく売れている毎月分配型の投資信託に投資してしまうのは、この原則を理解していない人が大半なのでしょう。

山崎元『学校では教えてくれないお金の授業』から引用

今回の記事では、まずこの前半部分をごく単純な3つの例で示してみたいと思います。

さいごに、毎月分配型(期間をのばせば"高配当型"と同じ)が人気の秘密について問題を投げかけたいと思います。

CAUTION

今回の計算では、売買手数料を無いものとしています。

パターンA 配当金が出たが、株価が値下がりした

ある会社の株式を100万円ぶん購入したとします。

※ETFや投資信託と考えても同じです。

一定期間後、株価が8%下落して、評価額が92万円になっていました。

※1ヶ月と考えてもいいですし、1年と考えてもいいですし、10年でもいいです。このあいだに売買していないことにしますので、途中の値動きは関係ありません。

この期間に、配当金5万円(税引き後)を受け取りました。

※複数回受け取ったのなら、その合計です。

以上のような場合、投資の運用成績をどう評価すればよいでしょうか?

ずばり、

トータルリターン ー3万円

運用利回り ー3%

です。

今回の例では、評価額92万円、配当金5万円、投資元金100万円でしたので、冒頭の式に入れてトータルリターンと利回りを計算するとこのようになります。

[式1]トータルリターン = 評価額92万円 + 配当金5万円 ー 投資元金100万円 = ー3万円

[式2]利回り(%) = ー3万円 ÷ 投資元金100万円 ✕ 100 = ー3%

このとき配当金5万円をどう使ったかは問題にならず、トータルリターンの計算にふくめます。家族旅行のためにすぐに消費したとしても、将来なにかに使うために貯金したとしても、同じことです。どちらも自分の投資の利益です。

ただ、再配当(同じ株を買うのに使う)するとちょっと変わってきますので、それはパターンCで説明します。

配当利回りって?

ここで、よくある指標「配当利回り」について確認してみましょう。

投資元金100万円で配当金5万円ですので、配当利回り5%とする見方です。

この数字にはなにか意味があるでしょうか?

毎年5%の配当金を受けとれるとして、投資元金100万円分に達するには20年かかりますね。ためしに20年間のトータルリターンを計算してみましょう。

[式1]トータルリターン = 評価額92万円 + 合計配当金100万円 ー 投資元金100万円 = +92万円

[式2]利回り(%) = +92万円 ÷ 投資元金100万円 ✕ 100 = +92%

20年かけて、手元には92万円が残りました(投資元金100万円は配当金で相殺されました)。20年で利回り92%ということは年平均利回り約3.3%です。

※100万円に103.3154(年平均利回り3.3%のこと)を20回かけ算するとおよそ192万円になります。

もうけが少なすぎると思いましたか? 92万円は、年間では46,000円、ひと月では4,000円弱です。もっと株価が下落するかもしれないリスクや減配・無配のリスクをとってまでおこなった投資の結果が、月4,000円です。ちょっと支出を見直して節約すれば無リスクで捻出できたかもしれない額ともいえるのではないでしょうか。

少ないと思うか十分だと思うかは人それぞれですが、これがリアルな運用成績です。

単に「配当利回り○%」というのは、運用成績を評価するのに意味ある数字ではありません。(2つの銘柄の配当効率を比較するのには使えるかもしれませんが)

評価額がどれだけ伸びるか(=どれだけ値上がりするか)も視野に入れて投資方針を決めないと、20年後に後悔するかもしれません。「あれ、思っていたよりもうからなかったな」と。

でもそれは、意味のない計算を重視しすぎてトータルリターンを考えていなかった自分の責任です。

※もちろん、投資元金を回収しおわった21年目以降はもうけがどんどんふえつづけることになります。それはそれで意義のあることだともいえます。

パターンB 配当金が出て、株価も値上がりした

閑話休題、ある会社の株式を100万円ぶん購入したとします。

一定期間後、株価が4%上昇して、評価額が104万円になっていました。

この期間に、配当金5万円(税引き後)を受け取りました。

以上のような場合、投資の運用成績をどう評価すればよいでしょうか?

ずばり、

トータルリターン +9万円

運用利回り +9%

です。

計算式は、

[式1]トータルリターン = 評価額104万円 + 配当金5万円 ー 投資元金100万円 = +9万円

[式2]利回り(%) = 9万円 ÷ 投資元金100万円 ✕ 100 = +9%

パターンC 配当金を再投資し、株価も値上がりした

ある会社の株式を100万円ぶん購入したとします。

購入後すぐに権利日がきて、配当金5万円が入金され、すぐに同じ株を買いました。(配当再投資)

一定期間後、株価が4%上昇して、評価額が104万円になっていました。

以上のような場合、投資の運用成績をどう評価すればよいでしょうか?

※すぐに配当金を再投資したので、配当金5万円も同様に4%値上がりしたとします。

ずばり、

トータルリターン +9.2万円

運用利回り +9.2%

です。

計算式は、

[式1]トータルリターン = 評価額109.2万円 + 配当金0万円 ー 投資元金100万円 = +9.2万円

[式2]利回り(%) = 9.2万円 ÷ 投資元金100万円 ✕ 100 = +9.2%

投資元金100万円が4%値上がりして104万円、配当金5万円で購入した株5万円分も4%値上がりして5.2万円になりましたので、104万円+5.2万円=109.2万円が評価額です。

配当金はすぐに再投資して株に変わりましたので、評価する段階では無くなっています。そのため0円で計算します。

3つのパターンを比較

それぞれの図をくらべてみましょう。

この図で、トータルリターンと利回りの関係をつかんでください。

トータルリターンを考えない人

約4ヶ月間、Twitterの株クラスタを見てきて、高配当重視の投資スタイルの方が非常に多いことを切に感じています。

その多くの方が、「トータルリターン」の考え方を誤解しているのではないかと思い、今回この記事を書きました。

――いわゆる高配当銘柄(個別銘柄であれETFであれ)は、比較的、値上がりする力が弱いとされています。

支出にあてたいなど消費目的で配当金をもらっているなら別です(それはそれで結構です。手段と目的の違いですので)。「高配当株で資産をふやす」「高配当再投資でFIREを目指す」といっている人の中で、トータルリターンを度外視している人が少なからずいらっしゃいます。

※そういった方を見るにつけ、私は不安になります。おせっかいですが、こうして筆をとらずにはいられません。

「配当利回り」がいくらよくても、株価それ自体も値上がりしていかなければ、あなたの投資は成功したといえません。

巷間には、高配当重視スタイルをすすめておきながらトータルリターンについて語ろうとしない人がいます

(なぜでしょうか? そのあたりの原理はこちらで説明しています)

「"配当利回りはよい"が"トータルリターンは悪い"投資方法」において、トータルリターンを明示することが彼らにとって不都合だからです。そういった人を盲信して自分の投資スタイルを決めるのは、せっかくのもうけを減らすことになるかもしれません。

高配当銘柄に投資せよとさけんでいる書籍やブログで、ちゃんとトータルリターンが説明されているかどうかは、とても重要です

他人に流されず、自分の頭で考えて判断することがなにより大事です。

妻の顔

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東証一部上場企業に勤める平凡なサラリーマン(営業職)35歳。妻あり子無し。結婚数年目。世帯年収は約1,000万円。20代に国内株で失敗経験あり。初心者やアクティブ運用に疲れた投資家にインデックス投資をおすすめする。Twitter @obuchi35kara

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