

アップル(Apple Inc.)の株価がグングン上がってるみたいだね。

(おぶち)
そうだね。GAFAやマイクロソフトなんかのITプラットフォーマーは強いね。

時価総額が上がってるってことだよね。

(おぶち)
そう。VTIに占める割合も、GAFA+Mだけで20%にせまる勢いだよ。
※2020年7月現在。
アップルの株価は本当に"最近"上がってきているのか?


(おぶち)
ところで、アップルの株価が上がってるって言うけど、それは最近だけのことだと思う?

いやどう見ても最近でしょ。チャートを見ればわかるよ。
2006年ころまでは全然値動きがなくて、そこから急に上昇してる。

(おぶち)
うーん。そこなんだけどね。
「値動きがない」って決めつけるのはよくないね。

え? どうして? ほぼ直線なのに?

(おぶち)
アップルは、今では株価が上がりすぎて、このグラフでは昔の株価が小さかったころの値動きがうまく表現できていないんだよ。

え、そうなの!?

(おぶち)
うん。例えばアップルは2004年に株価が2ドルから3ドルに上がったんだけど、上昇の幅は「1ドル」だよね。

うん。

(おぶち)
300ドル台になっている今(2020年)では、毎日のように1ドル以上上昇・下落してる。

うん、うん。

(おぶち)
同じ1ドルでも、2ドルから3ドルになるのは比率では1.5倍の上昇(150%)。今の300ドル台の世界では1ドルの上下といえば±1%の中の値動きに過ぎないんだ。

そっか。

(おぶち)
ふだん見ているこのグラフは線形グラフといって、値動きの「幅」に着目している反面、株価変動の「比率」が見えにくいものなんだ。
いっぽう対数グラフっていう、「幅」じゃなく「比率」を見るのに特化したグラフがあるから、2つ並べて見てみよう。



え、全然ちがうじゃん。むしろ2006年以前のほうが激しく値動きしているように見える。

(おぶち)
実際そうだった。
黄色矢印の部分に注目してみよう。
線形グラフでは目に見えないくらい小さな値動きなのに、対数グラフで見るととても大きな暴落だったことがわかる。

ほんとだ。

(おぶち)
このときアップル株をたくさん持っていた人は、大打撃をくらっただろうね。(ITバブル崩壊)

(おぶち)
もうひとつ、線形グラフの緑色矢印はとても大きな下落に見えるけど、対数グラフで見るとたいしたことはなくて、過去にはもっと大きな下落がたくさんあった。
※それでも-30%くらいの下落なので、決して小幅とは言えませんが。(2018年末暴落)

なんとなくわかってきたよ。

(おぶち)
どんな会社の株でもETFでも投信でも、自分の資産が今後どうふえていくか(減っていくか)を見積もるには、期待リターンや騰落率(たいてい単位は「%」や「倍」)を掛け算してもとめるよね。

だから、過去のチャートを見るときも、線形グラフだけじゃなく対数グラフも見ておいたほうがいいというわけね。

(おぶち)
そう!
長い期間を見るときや、幅広く値動きしてるチャートを見るときは特にね。
世界恐慌はどれだけひどかったか

(おぶち)
今度はダウ平均の100年チャートを見てみよう。
まずは線形チャートから。


緑色矢印のところはリーマンショックだね。

(おぶち)
そう。ひどい暴落だね。
でも、世界恐慌が史上もっともひどい暴落だったというのは知ってるよね。

うん。
黄色矢印の部分でしょ? 全然インパクトがないよ。

(おぶち)
というわけで対数グラフを見てみよう。


えっ、やば。

(おぶち)
世界恐慌のとき、ダウ平均は約$380から約$42ドルに約$338ドル下げた。比率でいうと約-89%だ。

(おぶち)
いっぽうリーマンショックでは、約$13,900ドルから約$7,000ドルに下げた。値動きの幅は約$6,900ドルととても大きな数字だけど、比率では-50%程度。

(おぶち)
1929年当時と2007年当時とで、自分が全米インデックスファンドを持っていたとしたら、より損が大きいのはどっち?

当然、1929年だね。

(おぶち)
そのとおり! これは線形グラフからは簡単には読みとれないことだね。
対数グラフはどこで見れる?
残念ながら、対数グラフを用意しているサイトがあまり多くありません。
ざっと調べたところ、国内ネット証券大手の楽天証券とSBI証券、ウェブサイトやスマホアプリにはありませんでした。
楽天証券ならデスクトップPCの専用アプリケーション「マーケットスピードII」で見られるようです。
対数グラフを見られる主なサイトは以下のとおりです。(いずれも国内株・米国株が見られます)
※Yahoo Financeは、チャートのFull Screenモードの歯車マークから、Y-axis scale → Logarithmicを選択。(Linearは線形グラフ)
※TradingViewは、チャート右下の「ログスケール」ボタンをクリック。
私もすべてを調べたわけでもありませんし、上記の内容に誤りがあるかもしれません。
よろしければ「問い合わせフォーム」もしくはTwitterのDMで情報を頂けると幸いです。よろしくお願いいたします。
どうやって活用すればいい?

ところで、対数グラフを私に教えてどうしろというの?

(おぶち)
正直、我が家では特に使いみちはない。

そうだよね。

(おぶち)
基本的にVTIだけをずっと持っていく投資方針だから、新たに銘柄選定はしないし、過去のVTIの株価をあれこれ分析することもない。

じゃあ忘れていいかな?

(おぶち)
いいよ!
ただ、私たち以外で、銘柄選定をしている方で、自分のリスク許容度と照らし合わせるために過去にどのくらいの下落があったかをチャートで見ようとしている人は、対数グラフもぜひ見てほしい。

対数グラフも見てしっかりと比率変動のイメージをもつかもうってことだね。

(おぶち)
そのとおりです。

――ところでさ、チャート分析とかテクニカル分析をしている人たちは、どっちのグラフを使ってるの? 線形? 対数?

(おぶち)
うーん、知らない。

えー。

(おぶち)
インデックス投資ではそういう分析はしないからね。

さすがに両方使ってるのかな?

(おぶち)
たぶんね。

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