<ミニ投資放談 05>「All About マネー」の奇妙な記事について

2020/08/30

ミニ投資放談

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All Aboutというメディアを知っていますか?

「ガイド」とよばれる様々なジャンルの専門家が、知識やライフスタイルなどについていろいろな記事を寄せあう総合情報サイトだそうです。

その中に、とても面白い記事があったので紹介します。

(「面白い」はfunnyの意味です)

「投資信託は貧乏人が買うものだ」

こちらの記事です。

お金持ちの持ち物、貧乏な人の持ち物【アニメ動画で解説】 [家計簿・家計管理] All About

この中に、次ような記述があります。

貧乏な人は投資信託を好みます。価格だけを見るから、投信を構成している個々の銘柄の価値には興味がなく、調べもしない。手数料の安さやコンセプトのキャッチコピーだけで安易に選んでしまう。

反対に、多くのお金持ちが持っているのは個別株です。その企業の価値や成長性に着目しており、それが満足できるなら、仮に株価が上場してから10倍になっていて、周囲が割高じゃないかと感じていても買うことができます。

お金持ちの持ち物、貧乏な人の持ち物【アニメ動画で解説】 [家計簿・家計管理] All About から引用

うーん……これを読んで「そのとおり!」と合点がいく人はどれくらいいるでしょう。

決定的な誤り

お金持ちは「高価でも良質なものを長く使う」という、記事全編にわたるこのライターの断定的な主張を百歩譲って受け入れたとして、それを一概に投資に当てはめるのには非常に無理があります。

この短い記事に存在するいくつかの決定的な誤りを見てみます。

奇妙な統計データ

「貧乏な人は投資信託を好み、お金持ちが持っているのは個別株」

この部分、統計データの出どころを明示してもらいたいものです。まさか、ライターの妄想ではないですよね?

投資信託への奇妙な先入観

「(投資信託を好む貧乏人は)価格だけを見るから、投信を構成している個々の銘柄の価値には興味がなく、調べもしない」

まず「価格だけを見る」とは何のことでしょう。投資信託が100円から買えることを言っているのでしょうか? 100円から買える=安い=貧乏人専用のものだ、と思っているのでしょうか? 非常に奇妙な書き方です。

そして「個々の銘柄に興味がない」という部分は、投資信託の意味をまったく理解していないように見受けます。

株式投資では投資先を分散することでリスクを低減できます。それを個人が行うには投資信託を利用するのが効果的です。このことを知っていれば、こんな記述はありえないはずです。

個々の銘柄に興味がなくても、調べなくても、手間をかけず(低コストで)高い効果を享受できるのが投資信託のメリットです。

※また、興味を持って一生懸命調査したからといって必ず投資効果が上がるものでもありません。

それに言及しないのは、この記事の文脈においては致命的な欠陥です。

投資信託は安いのか? 高いのか?

売買手数料を別にすると、投資信託の方が個別銘柄より"運用中のコスト"が高いです。信託報酬というコストを投資家は常に負担するからです。

投資信託を買うのは、そのコストを支払ってでもより高い投資効果が得られると思うからです。

ライターは「貧乏人は安いものを買う」という主張を読者に押しつけたいようですが、この点で理論が破綻しています。

貧乏人を何だと思っている?

「その企業の価値や成長性に着目しており、それが満足できるなら、仮に株価が上場してから10倍になっていて、周囲が割高じゃないかと感じていても買うことができます」

この部分は、割とまともなことを言っています。過去の価格にとらわれず、未来の価値と比較して今が安いと思うなら買う。それは株式投資の基本です。

しかし、お金持ちが個別銘柄を選ぶ理由にはなっていません。貧乏人だって(非常に失礼な言い方ですが)将来の価値を考えて個別銘柄を買う判断はできますし、実際、財産の多寡によらず個別銘柄は買われているはずです。

根拠を立てて何かを論証したいというよりもむしろ、文章から、お金持ちへの憧れと貧乏人への差別意識がにじみ出ているように思えます。私だけでしょうか。

信頼できるメディアは本当に少ない

そしてこうしめくくっています。

もちろん、全員がそうだというわけではありませんが、本質を重視するその姿勢は、資産運用にも現れるということでしょう。

お金持ちの持ち物、貧乏な人の持ち物【アニメ動画で解説】 [家計簿・家計管理] All About から引用

なんという居丈高な態度でしょうか。噴飯ものです。

はたして投資における"本質"とはなんでしょうか。少なくとも「投資信託より個別銘柄をえらぶ」ことではないと思います。

低コストで生涯にわたってできるだけ高いリターンを得ることだと思います。お金持ちや貧乏人にかかわらず。

売却益だけでなく保有中の"効用"もリターンに含めるのなら、洋服や家具や食器だって、安く仕入れて高いリターンを得る原理は、株式投資と変わらないと思います。

このライターがどんな人物か私は知りません。

ただ言えることは、投資の"本質"を知らないのはこの人自身でしょう。

想像するに、投資に対する知識も思い入れもないまま、原稿料を稼ぐために殴り書きしたのではなかろうか。(それはそれで彼の生きるすべだったかもしれません)

でなければこんな、お金持ちのライフスタイルに憧れる多感な中学生が書いたような、軽佻浮薄きわまりない文章が生まれるわけがありません。

また同時に、この文章に原稿料を支払っている(であろう)All Aboutというメディア自体にも責任があると思います。

私はかねがね、SNSやブログで素人の投資情報を鵜呑みにするなとさけんできましたが、今回のように、まともな(まともそうに見える)メディアであっても、不誠実な情報を流布させていることがあるということが判明しました。

規模や歴史のあるメディアであっても、顔と本名(?)を公開しているライターが書いたものであっても、常に疑いの目で見なければいけないと、ひどく痛感させられました。

妻の顔

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東証一部上場企業に勤める平凡なサラリーマン(営業職)35歳。妻あり子無し。結婚数年目。世帯年収は約1,000万円。20代に国内株で失敗経験あり。初心者やアクティブ運用に疲れた投資家にインデックス投資をおすすめする。Twitter @obuchi35kara

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