
ドルコスト平均法。株の入門書をひもとけばたいてい最初の方で紹介されている、株式投資のやり方の一つです。
銀行のサイトでも(ドル・コスト平均法とは?上手に利用するための2つのポイント | みずほ銀行)、金融庁のサイトでも(投資の基本 : 金融庁)解説されています。
「基本編」や「基礎知識」などの章に組み込まれていることが多いせいか、投資初心者でもよく知っている手法だと思います。
この手法が紹介される場面があまりにも多くて、まるで株式投資するにはドルコスト平均法をやるのが当たり前であるかのような風潮すらあるように感じます。
率直に言うと私は、ドルコスト平均法は、投資家にとってメリットよりもデメリットの方が多い・大きいと考えています。
そこで本記事では、株式投資において、ほとんどの場合ドルコスト平均法が有効ではない(もしくは不十分だ)ということを、できるだけ数字や計算を使わずに説明します。
さらに、ドルコスト平均法に代わるやり方「代替法」も提示します。(こっちはちょっとだけ数字をもちいます)
※「代替法」のやり方は画期的でもなく、小淵オリジナルでもなく、手間もかかりません。投資においてはごく普通で合理的なやり方です。(私はこっちの方が主流だと思っているので「代替」というのは本当は嫌なのですが……)
本記事でいうリスクとは、株価変動リスクを指します。
目次
前提
最初に本記事の前提を2つ設定させてください。
1つ目: 読者の皆様が、ドルコスト平均法とはどんなものであるか・何のためにやるかという概要をある程度知っているものとさせていただきます。
その中でも特に、「なんとなくドルコスト平均法をやらなきゃ」とか、「ドルコスト平均法がいいと聞いたからやってる」という程度の、消極的にこの手法をいいと思っている方にぜひ読んでいただきたいです。
前提の2つ目:
長期的に値上がりを期待するものに投資していて
マーケットタイミングが読めない
このような投資家を想定してお話します。(投資対象が個別銘柄か投資信託・ETFかは関係ありません)
※それ以外の方(長期的に値上がりしなくてよく、タイミングが読める人)がドルコスト平均法を採用すべきかどうかについては、記事の最後に私の考えをお話します。
ドルコスト平均法の難点1:機会損失(1)&ルール不備
例えば、ドルコスト平均法にそって、毎月きまって◯万円を投資すると決めた投資家がいたとします。彼女に臨時収入が入って、投資のために使いたいと思ったら、どうすればいいでしょうか?
ドルコスト平均法にしたがえば、ひと月にその金額以上は投資に回すことができません。臨時収入が手元にあまってしまいます。
このケースでの問題は、
問題① 投資できる現金があるのに手元に残しておくことで、市場の成長の恩恵を受けるチャンスをのがしてしまう。……【機会損失】
問題② 臨時収入をできるだけ投資に回したいが、設定額を超える分について、ドルコスト平均法のルールではどうすればいいかわからない。……【ルール不備】
※「株価が下げたら投資すればいいじゃない」という案は、無理です。前提で「マーケットタイミングが読めない」とおいているので、どこまで下げたら買い時か判断不能です。もしくは、そもそもそれ以降もう値下がりしないかもしれません(その場合は機会損失)。
このように、市場の上昇気流に乗るチャンスをのがす【機会損失】と、投資家が判断に迷う【ルール不備】の問題が出てきました。
特に後者は、投資家にメリットがあるように語られることの多いドルコスト平均法において、逆の意味を持ちます。買付けタイミングや株価に悩まなくていいというのがこの手法の売り文句のはずでは?
ドルコスト平均法は、ある特定の場面においてのみ有効なのであって、いくつかのケースでは投資家がどう行動すべきかの指針を与えられません。(金額やタイミングなどについて)
そのため投資家は、多くの場面でドルコスト平均法以外の"何か別の判断基準"をもって投資行動を決める必要にせまられます。ここにドルコスト平均法の欠陥があります。
※投資家独自の判断でドルコスト平均法のルールを度外視して行動すれば、それこそ高値づかみしてしまうことだってあるわけです。
以上より、ドルコスト平均法は投資家に寄り添った手法とは言えません。むしろ"不親切"とさえ思います。少なくとも私は、右も左も分からない投資初心者に勧めることはできません。
臨時収入――例えば贈与を受けたり、節約がうまくいったり、給与がアップしたり結婚して世帯収入がふえたときなど――投資に回せるお金が設定金額を超えたとき、どのように立ち回ればいいかの方針は、のちほど「代替法」の章でお教えします。
ドルコスト平均法の難点2:機会損失(2)
毎月5万円を投資すると決めている投資家がいたとします。
彼は、給与や出費がやや不安定で、たまに5万円を満額投入できない月が発生します。
そこで計画を見直し、ドルコスト平均法にもとづく設定金額を、確実に実行可能な「毎月3万円」に変更しました。
問題③ ドルコスト平均法による投入金額を低めに設定することで、月によって現金あまりが発生する。そしてあまった現金が積み上がっていく。……【機会損失】
彼は、ある月は5万円、またある月は6万円、投資に回せるお金があるかもしれません。
しかし、ドルコスト平均法にしたがうことで、差額の2万円や3万円は現金の状態で残しておくしかありません。
せっかく投資できる資金があるのにしないのは【機会損失】です。
そして(前章の説明と重複しますが)このあまった現金を有効に投資に回す方針は、ドルコスト平均法では提示できません。
市場の成長の恩恵をより大きく受けたければ、できるだけ長い時間、リスク資産の形で保持することです。
ドルコスト平均法の思想を優先するばかりに金額設定を低くしてしまうことは、得られたはずのリターンを放棄することに他なりません。
ドルコスト平均法の難点3:リスクを取りすぎることがある
ドルコスト平均法は「買付タイミングを分散することでリスクを低減する」もしくは「"時間分散"効果によりリスクがおさえられる」という説明をよく目にします。
……これ、初心者を奈落に突き落とそうとしているかのような、まったくもって恐ろしいフレーズです。ある場面では事実と逆のことを言っているのですから。
事例で説明します:「投資信託A」に投資する2人の兄弟がいたとします。
ある年の1月、兄は120万円を投じて一括でAを買いました。
弟は、同じく120万円を持っていましたが、ドルコスト平均法にのっとり、1月をスタートに毎月きっかり10万円ずつAを購入していきました。12ヶ月後には合計で120万円投じたことになりました。
さて翌年1月になり、大暴落が訪れました。Aの基準価額が-40%下落しました。
弟のリスク許容度は-20%でした(-20%の下落までなら心が耐えられるということ)。しかしそれを大きく超えて下落したわけです。
弟は耐えられなくなり、Aを全部売ってしまいました。
問題④ ドルコスト平均法は、買付のタイミングを先延ばしするだけで、リスク低減にはならない。……【リスク管理不能】
「ドルコスト平均法はリスクを抑えられる」という紋切り型の説明は、なにも真実を表していません。
資金を小出しに市場にさらしていくことは、リスクをおさえることにはならないのです。
この例のように、買付タイミングをずらしただけで、最終的に取っているリスクは兄と変わりません。
市場の-40%の暴落を受けても、自分の試算全体がリスク許容度(弟の場合-20%)を下回らないようにするのがあるべきリスクヘッジです。
ドルコスト平均法は、リスクヘッジにならないのです。ちょっとずつ資金を投じていくので「最初は小さな額だから安心だ」という"気休め"を得るだけです。
ドルコスト平均法はリスクを低減する効果はさほどなく、株価の下落に対応するための適切なリスク管理を"何か別の方法"でやらなければならないのです。よってドルコスト平均法は、誰にでもオススメできる万能な手法とはいえません。
なんとなくでやっていると、リスクを取りすぎることがあり、たいへん危険です。ドルコスト平均法が実践できる"積立投資"がいいと聞いたから、といって資金全額を突っこむのは非常に危ないことをしています。
――ではこのケースで、弟はどうすべきだったか考えてみます。
弟のリスク許容度は-20%です。投信信託Aの下落率は-40%でした。(今後も、-40%が、起こりうる下落の中でほぼ最大だと仮定しましょう)
弟は、そもそも120万円分もAを買ってはいけなかったのです。具体的には、Aを50%(60万円分)、現金を50%(60万円分)持っているべきでした。
そうすれば、-40%の市場の下落を受けても、Aが36万円になるだけです。
下落した36万円と現金60万円とで合計96万円。当初の120万円から比較して、保有試算全体としての下落率が-20%で済みました。
ちょうど、弟のリスク許容度の範囲内でおさまったことになります。
株価下落リスクのヘッジは、こうしてリスク資産と現金との比率でおこなえばいいのです。
※誰にとっても「現金比率50%」がふさわしいわけではありません。「-20%」「-40%」の部分の数字を変えて最適な現金比率を導き出す方法があります。次の「代替法」の章で解説します。
この考え方を知っていれば、そもそも弟は、Aを買うのに12回も手間をかける必要はありませんでした。1月に一括で「60万円でAを買う。現金60万円は残しておく」をやるだけで十分にリスクを回避できていたのです。(しかも機会損失も避けたことになります)
その後、さらに月々10万円投入できるならば、「5万円でAを買う。現金5万円は残しておく」を毎月やっていけばいいだけです(基準価額も口数も関係ありません)。これを積立投資として自動化してもまあいいでしょう。
また、ボーナスが20万円入った月には、そのつどマーケットタイミングを読まず、「10万円でAを買う。現金10万円は残しておく」とやればいい。
常に「保有資産の現金比率50%」を保つようにすればいいだけです。あえて時間を分散することに意味はありません。
※給料が入るたびに追加購入することで、"結果的に"時間分散されることを否定はしていません。
毎月10万円"全額"を使ってAを買っていた弟のように、リスクを分散するどころか、高すぎるリスクを取り続けるのは避けたいものです。
リターンがともなわない
この投資信託Aがこの1年間ずっと値上がりしていった場合、12月の時点で、例えば兄の資産評価額が200万円、ドルコスト平均法をしていた弟の評価額が150万円ということがありえます。
兄と同じリスクを取ったにもかかわらず、です。こんなもったいないことがあるでしょうか。
※前提の「長期的に上げていく」を忘れないでください。
代替法――ドルコスト平均法の代わりに
「難点4」にうつる前に、ここで「じゃあどうすればいいのか」についてお答えします。
それは、ほとんど前章で説明してしまいましたが、
自分にとって適切な現金比率を見つけ、常に保有資産全体にしめる現金の比率がそうなるように維持する
これだけです。
このルールさえあれば、臨時収入があっても、少ない金額しか投入できない月があっても、対応できます。
一括投資すべきか"時間分散"すべきかということも考える必要はありません。
一定額を定期積立設定してもいいですし、毎月◯日と決めず不定期でもいいんです。
「そのとき投資できるお金を一括投資。ただし、適切な現金を残しつつ」でいいのです。(一括投資=現金を"全額"投資に回す、ではありません)
適切な現金比率の見つけ方
「現金比率=自分の年齢(%)」というようなものを勧めているメディアもあるようですが、私は乱暴すぎると思います。
もう少し厳密に決める方法をこの記事で紹介しています。本章でも簡単に説明しておきます。
1.あなたが保有している(保有しようとしている)リスク資産全体の最大下落率を想定します。それを-D%とします。
※全米株式インデックスファンドだけを保有しているならD=50と見ればいいでしょう。複数のファンドや個別銘柄を持っていると、想定がむずかしいです。
※わかる方は、期待収益率-( 2 ✕ 標準偏差)などでもいいです。尚この数値には投資家の主観が入ります。
2.あなた自身のリスク許容度を-T%とします。(先ほどの例では弟がT=20でした)
3.あなたの総資産で最低限必要な現金比率C(%)は、
C (%) ={( D - T ) ÷ D }✕ 100
で算出できます。
ただし、DよりTの方が大きい人は、最大下落率を許容できる人です。現金比率はゼロでいいです。常に投資可能な"全額を一括投資"していきましょう。
(ちなみにこの式が正しいかどうかは誰でも検証できます。計算過程を掲載しておきます)

どう運用するか
事例として、現金比率C(%)=40%という結果が出たことを想定して解説します。
今あなたは投資を始めようと思いたち、50万円を用意しました。さっそく、"一括投資"します。
※さて、ここまで読んできたなら、初期の一括投資と毎月の積立投資との間に区別がないことはおわかりでしょう。最初のまとまったお金がなければ、ここを無視して次に進んでください。やることは同じですから。
リスク資産:30万円分一括購入(60%)
現金:20万円を残す(40%)
合計:50万円
さて次月以降、あなたは毎月の給料から、10万円ずつ投資に回すことができそうです。
まずはつみたてNISAで毎月33,333円購入する設定をしました。
さらに、このように動きます。いつでも「現金比率40%」を守るんです。
リスク資産:つみたてNISAで33,333円分定期積立
リスク資産:特定口座で26,667円分一括購入……★
現金:40,000円を残す(40%)
合計:10万円
★の部分だけがあなたの投資アクションです。やることはこれだけです。「現金比率を保つように、リスク資産を買う額を決める」たったこれだけ。
――1ヶ月後、保有資産の価値が変動し、このようになっていました。
リスク資産:40万円(62.5%)
現金:24万円(37.5%)
合計:64万円
※40万円は、30万円+6万円+値上がり益。
リスク資産が値上がりしたために、40%を維持すべき現金比率が37.5%に下がってしまいました。
そこであなたは次の月、次のようにして40%になるよう調整します。
リスク資産:つみたてNISAで33,333円分定期積立
リスク資産:特定口座で10,000円分一括購入……★
現金:56,667円を残す
合計:10万円
★部分があなたの投資アクションです。
リスク資産を買う量を減らします。リスク資産を買った結果、現金比率が40%になるようにすることが優先です。
結果、こうなりました。
リスク資産:443,333円(59.9%)
現金:296,667円(40.1%)
合計:740,000円
現金比率を40%に修正することができました。これで安心ですね。
これはどんな意味がある?
お気づきの方もいるかもしれません。この方法だと、リスク資産が値上がりしたときは買うのをひかえて、値下がりしたら買い増すことになります。
高値づかみをおさえて平均取得単価を下げるというドルコスト平均法の精神も合わせ持ちつつ、いつでもどんな金額でも資金を投入できるようになっているのです。
【期間損失】【ルール不備】【リスク管理不能】のすべての問題を解決できているんです。
これにより、自分の感情や判断をいれず、淡々と、機械的に投資行動を実行していけます。
ドルコスト平均法の難点4:それ本当にメリット?
ドルコスト平均法のメリットの説明として代表的なものに、以下のようなものがあるかと思います。
株価が高いときに少なく買え、低いときに多く買える
価格上昇・下降どちらの局面でも投資スタートできる
日々の価格変動に一喜一憂しないで済む
投資初期にまとまった資金を用意しなくても投資が始められる
高値づかみを回避できる
これらはどれも「代替法」でカバーできています。ドルコスト平均法特有のメリットではありません。
詳しい説明は不要ですよね。
ありそうな反論
積立投資はダメか?
ダメではありません。「代替法」でも紹介した通り、積立設定(NISA口座であれ特定口座であれ)をすることはまったく問題ありません。
積立投資をしている人の中には、それがドルコスト平均法になっているから、と思っている人がいるかと思います。が、それは違います。というか、無理にそう考える必要はありません。
積立投資は、どうやってリスク資産を買うかの"手続き"に過ぎません。ペットボトルの水をスーパーで買うか、ドラッグストアで買うか、ネットで注文して定期的に配達してもらうかくらいの違いです。
先ほど事例で紹介したように、「代替法」でも積立投資を活用できます。
「常に投資できるお金を一括投資(ただし現金比率を維持して)」を実践する中で、必要であれば積立投資すればいいだけです。
ただポイントとして、積立投資の設定額を高くしすぎると、リスク資産が値上がりしすぎたときに、現金比率を理想のパーセントに調整できない場面が発生することがあります。
つみたてNISAなどの積立設定で、非課税枠を無計画に満額設定してしまわず、余裕を持っておくことも必要です。
特定の相場ではドルコストが有効だ
「下げ相場やボックス相場ではドルコスト平均法が有効だ。相場を見て都度スタイルを変えればいい」
これは完全に、未来のチャートが見えている超能力者の発言です。
下げ相場や押し目が見えているのなら、ドルコストも代替法もせず、もっとも下落したときに集中投資するのがいいでしょう。(下降トレンドになる前に売却もできるでしょう)
マーケットタイミングを読めないからこそ、自分の判断を減らし、ミスを減らす行動を取るべきなのです。そのための「代替法」です。
マーケットタイミングを読めないなら、特定の相場でだけドルコスト平均法をやるもの無理です。
こんな細かい計算、毎月やってられるか
ごもっともです。
正直、ここまで細かな計算はやらなくていいと思っています。
現金は、少ないよりは多いほうが安全です。
ですので、例えば最適な現金比率40%と算出された投資家は、実際の現金比率が40〜45%の間であればよしとする、というやり方でもいいわけです。
※少しだけ機会損失しますが、手間をかけることとのトレードオフです。
もしくは、Dの値を大きめにするかTの値を厳しめに(小さめに)余裕をもって現金比率を算出しましょう。
そして、数%くらいはズレてもいい状態を作っておきましょう。(例えば最適な現金比率15%と算出されたなら、前後3%くらいの幅におさまっていればよしとする、など)
さいごに
生活費・生活防衛資金とは分ける
「代替法」で算出した、一定割合で確保しておく現金は、生活費や生活防衛資金とは別で持っておくことをおすすめします。
生活費・生活防衛資金は銀行の預金口座に入れておき、投資のための現金はリスク資産と同じ証券口座に入れておくのがいいでしょう(「現金余力」や「預り金」として)。
生活費や生活防衛資金は、日常的に金額が変動するものです。変化の激しいお金をリスク管理のための現金とするのは望ましくありません。
「リスク資産」は何がいいか
ここまで「リスク資産」の部分を特定せずに話をすすめてきました。どんなものに投資すればよいかについては、投資家の判断に任せたいと思います。
とはいえ「代替法」を運用するには、Dの値がコロコロ変わると都合が悪いです。Dが変わるたびに現金比率Cも変わってしまいますから。
そこで、Dを推定しやすくし、かつある程度固定するには、リスク資産は1種類であることが望ましいです。
そして、個人投資家が成功するための必須条件「長期・分散・低コスト」を是とすると、広い市場に投資できるインデックスファンドがベストでしょう。
しかも、現代ポートフォリオ理論でも、時価総額加重平均のインデックスに連動するファンド1種類がいいという結論が出ています。
「代替法」と現代ポートフォリオ理論は相性がいいのです。
こちらの記事もごらんください。
※個別銘柄でDの値を見積もると、かなり大きい数字になるでしょう。連動してC(現金比率)もかなり大きくなります。おそらく個別銘柄の投資家が、十分な量の現金を持っていないことに気づくと思います。
"前提"以外の人へ
さて本記事では、「長期的に上げていくものに投資」し、かつ「マーケットタイミングを読めない」という2点を前提に話をはこんできました。
長期的に値上がりを期待するものに投資していて
マーケットタイミングが読めない
では"前提のタイプ"以外の人は、ドルコスト平均法をやるべきでしょうか。
――最後に私の意見を表明して終わります。
まず「長期的に横ばいか下げていく」ものに投資したいという人がいたら、私は、ドルコスト平均法以前に「それをやめろ」と言います。
マイナスのリターンを期待するなんて、正気ですか? え、配当目当てですって? 配当重視の投資だって、株価の変動を含めたトータルリターンで投資成果を見るのは当たりまえです。
「私はマーケットタイミングが読める!」という人には、それこそドルコスト平均法などやめろと言います。
だって下落するタイミングがわかるならそこで一括投資すればいいじゃないですか? 株価が上がったタイミングで売り抜ければいいではないですか。そうすればドルコスト平均法をやるよりガッツリ稼げます。
――こうして考えると、ドルコスト平均法がマッチする投資家像を思い浮かべることが非常に困難です。
ではなぜドルコスト平均法というものを、多くの証券会社や金融庁やブロガーが勧めているのでしょうか?
紙幅が無いので要点だけ書きますが、この手法は初心者の耳に聞こえがよく、口座を開設する敷居を下げたり資金の少ない顧客にとりあえず入金させるため、"わかりやすい安心感"を与えるのに便利だからだと思います。
つまり何らかの理由で「投資家をふやしたい」側が駆使するための方便だと思うのです。
投資家の立場に立った手法では決してない。私はそう考えています。
投資業界は、いつも"投資家目線の情報"にあふれた優しい世界ではありません。自分の頭で考えて常識を疑っていかないと、カモにされる世界です。
ドルコスト平均法もその一つだと思います。素晴らしい人格の人に囲まれて幸せな人生を過ごしてきた人ほど、そこに気づけません。
参考となる記事

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