
現在の日本では、広い市場(全世界や全米など)の時価総額加重平均に投資するためのすばらしい環境が整備されています。
ETFなら、
VT
VTI
VOO, IVV, SPLG
国内の投資信託なら、
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
楽天・全米株式インデックス・ファンド ※いわゆる「楽天VTI」
SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド
などが投資先としての代表例ではないでしょうか。
※どちらも、上から全世界、全米、S&P500に連動するファンドです。
いずれも手数料が比較的やすく、長期積立するのにもってこいの商品です。
――さてVTやVTIなどのETFは、米国の市場に上場しているものですので、証券会社のサイトで基本的にはドルで購入することになります。
「円貨決済」もありますが、これは購入と同時に証券会社がドルを用意してくれるイメージです。
そのとき円とドルの為替交換スプレッド(手数料)を私たちは負担することになります。

(おぶち)
ちなみに小淵はつねに円貨決済でVTIを買っています。
給料は円でもらってますし、あらかじめドルを用意しておくのが面倒ですから。

事前であってもドルを用意するときにスプレッドを払うのには変わりないもんね。

(おぶち)
うん。スプレッドを安く上げるテクニックはあるようだけど、私には面倒な手間だなあ。
というわけでVTやVTIなどは、保有していれば為替変動の影響を受けるということがどなたもすんなり理解できるかと思います。
いっぽう楽天VTIやeMAXIS Slimシリーズなど、国内の投資信託は、円で買って円で売ることができます。
そのためか、ドル円の為替変動影響を受けることを意識していない方がどうもいらっしゃるようです。
さて本記事では、国内の投資信託の為替影響についてかんたんに確認してみたいと思います。
よくある勘違い(?)
Twitterをながめていると、
「ドル転が面倒なので私はeMAXIS Slimを積み立てています!」
や、
「為替リスクを避けたいので(国内籍の)投資信託で全米インデックスに投資してます」
という方をチラホラお見かけします。
前者の方はまだしも、後者の方はちょっと危険です。
そういった状況に気づきまして、こんなツイートをしてみました。
よくある勘違い:
— 小淵(おぶち)🇺🇸VTI長期投資📈 (@obuchi35kara) January 25, 2021
eMAXIS Slim全世界株式でも楽天VTIでも、円で買えて売ったら円になるからって、為替影響を受けないと思ってはダメですよ。思いっきり為替変動リスク負ってますよ。
単に円貨決済しているだけであって、外貨建て資産を持っているのですよ。
すると、普段のつぶやきよりかなり多い、200以上のいいねがつきました。
「その通り」の意味でいいねを押した方だけなく、「え? そうだったの」と思った方も意外と多いような気がしています。
ファンドの投資先(ファンドの資産)が外貨建てなら、外貨建て資産を保有しているのと同じことです。
決済方法が円だからといって円貨建て資産を買っていると思うのは誤りです。
また同様に、基準価額が円で表示されるからといって円貨建て資産を持っていると思うのは誤りです。
これが本記事でいいたいことのすべてです。
目論見書で確認できます
自分が保有している投資信託、もしくはこれから買おうとしている投資信託が外貨建てかどうか(為替変動リスクを負うか)は、目論見書を見ればわかります。
※目論見書(もくろみしょ)とは、投資信託のプロフィールのようなものです。
目論見書は証券会社のサイトの投資信託の個別ページや、運用会社のサイトから見られます。
一例として「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の目論見書を見てみましょう。

まずは目論見書の最初の方にあるこの部分です。
左から2番目の欄に
投資対象地域 : 内外
とあります。これは、日本と海外のリスク資産に投資しているという意味です。この時点で、外国の為替影響を受けることを意味しています。
ちなみにその内訳も明記されています。ページを進めます。

「内外」の「外」が圧倒的に多いですね。
さらにこういった記述もあります。

ずばり為替影響を受けると言っていますね。
また、どの目論見書にも共通して、投資家が負うリスクについてまとめたページがあります。

ここでも、為替変動リスクがあるよと念押しされています。
こんなふうに、投資家(あなたや私)が受けるリスクは、目論見書を読めばわかります。
とても大事なことが書かれているので、保有している投資信託の目論見書は必ず読むことをおすすめします。
「為替ヘッジ」とは
では、為替影響を受けたくないけど海外に投資したいという方は、どうすればいいでしょうか。
その手段の1つとして、「為替ヘッジあり」の投資信託を選ぶ方法があります。
海外の株を保有・運用しその利益と損失を投資家に還元しますが、投資家への為替の影響を少なくおさえようとする投資信託です。
参考に「iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジあり)」という投資信託の目論見書を見てみると、

このような記述があります。
為替変動リスクの低減を図ります。ただし、為替変動リスクを完全に排除できるものではありません。
なんと「為替ヘッジあり」の投資信託でさえも、「為替リスクはゼロではないよ」といっていました。
――為替ヘッジという行為は、ファンドマネージャーたちが、いろんな金融工学のワザを駆使して実現します。
そこにはコストがかかるので、「為替ヘッジあり」の投資信託は信託報酬が比較的高く設定されています。
そのあたりの事情も、投資家であれば知っておいたほうがいいかなと思います。
ちなみに信託報酬を比較すると、この「iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジあり)」は年率0.209%、先ほどの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は年率0.1144%。2倍近いひらきがあります。
コストをかけても為替ヘッジありの投資信託を選ぶか、信託報酬のやすさを優先して為替変動リスクを負うかは、投資家の判断にゆだねられているのです。
――為替ヘッジがどういうものかについて解説した資料がありましたので興味のある方はご覧ください。(外部サイト)
こちらのページの「今日から使える『為替ヘッジ』」

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